Choose your life, choose your future.

クソガールが綴るグラスゴー建築留学記。

帰国

 

22日(日) イギリス出国

 

早朝に迫る帰国に向けて、

日本に発送する荷物3箱、スーツケース2つを寮の4階から1階まで降ろす作業。

こうゆう時に限ってエレベーターが止まってる。というかもうかれこれ1ヶ月以上故障中。

やれやれだよ、と思いながらも、私は荷物の集荷の時にはもう居ないので

代わりに寮の受付の方が対応してくれることになりました。

もう帰って来れないって話をした時も、

みんな本当に悲しそうに、でも仕方ないよね、気をつけて帰ってね、

って言ってスコットランド人の人柄に改めて有難さを感じて、

こんな時だからこそ人の優しさが滲みる。。。。

突然の帰国なので、開封してない保存食とか消耗品も大量にあったので

寮に残っている人たちに分けてもらうことにしました。

 

2時間ちょっと寝て、朝4時半ごろに予約していたUberで空港へ。

運航している便が少ないので、開いてるカウンターは限られているけど

それぞれには早朝にも関わらず長蛇の列。

さすがにカウンタースタッフはマスクしてたけど、

ロンドンへの便のCAのおじさんはしておらず。

韓国、中国人と思われる人たちが結構いた。(みんなマスクしてた)

 

ロンドンヒースローに着いて、ターミナルをバスで移動。

いつもは何もないけど、今日はバスに乗るまでに2箇所でスタッフから乗り継ぎ便のチェックが入った。

(多分乗り継ぎ便がキャンセルされてないか照合する為?)

いつもと変わらない出国審査を抜けてターミナルへ。この時点で朝8時。

ロンドンはさすがにスコットランドより警戒レベルが高くて、

ヨーロッパ系でも多分5割ぐらいはマスク着用。

中国人(だと思う、というか絶対そう笑)は凄かった。

どこで買ったん?っていうぐらい本格的な防護服に身を包み、

マスクとゴーグルは当たり前で、ゴム手袋、上級者は靴に被せる使い捨てのカバー。

最早CDCの職員だと言われても疑わないレベルの徹底ぶり。

アジア人は日本人含め自己防衛の意識の高さが凄まじい。。

(ちなみに私はマスクと眼鏡、顔を触らないようにニット帽に髪の毛全入れ)

 

羽田行きの便の乗り継ぎまでの待ち時間は10時間。

2時間半の便もあったけど、空港で急ぐのは得策じゃないという過去の教訓から

長いのは覚悟の上での選択だった。

が、ヒースローに着いてから気づいたけど待ち時間短い方の便はキャンセルされてました。

ロンドンー羽田便は毎日あったのが週5になって、間もなく週3に減便されるそうです。どんどん帰国が厳しくなってきてる。

掲示板もかなりのキャンセルの数、ほぼアメリカ行きの便だった。(インドも軒並キャンセル)

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いつものヒースローよりは人は少ないけど、閑散としてるというわけでもなく。

「他人とは2m以上の距離を取る」を守りながら、周りが空いてる席に座れるぐらいの混み具合。

ラウンジや休憩所も閉鎖空間なのでクローズ。

10時間となるとずっと座ってるとさすがにヒップのほうが痛くなってくるので

何するわけでもなくターミナル内を歩いて、また空いてる席を見つけては

ウエットティッシュで拭いてから座る、の繰り返し。

マスクと眼鏡で耳が痛くてイヤホンつける気にもならず、

何をするわけでもなくぼーっと過ごした。(気が長いマイペース人間で良かった、、、)

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イギリス全土と同様、空港内のレストランやカフェも

営業してるところもあるけどテイクアウトのみ。

ただブランドショップとかは開いてて、

防護服来た中国人がシャネルで買い物してる光景を見て

どうゆう精神状態なんだよ、、、、とか思い。

お土産品見てみるも2週間隔離のこと考えるともうめんどくせってなって

何も買わず。(なのでお土産一切ないです、すいません!)

何より空港内のお店のスタッフの8、9割がマスクをしてないのが

私は心配でしょうがなかった。あなたたち、大丈夫なの。。。。。

 

10時間経って羽田行きの便のゲートが表示されて、

ゲートに行ったらさすがJAL、スタッフ全員マスクしてて安心した。

機内では一応英語のアナウンスもあったけど、私が見た限り日本人しかいなかったと思う。

私がチケット買った時、エコノミーはもういっぱいで取れなくて

プレミアムエコノミーを取ったんですが(エコノミー+2.5万くらい)

めっちゃくちゃガラガラでした。

エコノミーの方はよく見えなかったけど、

あきらかに満席な感じではなかったので、どうゆうことなんや、、、、

検疫強化の関係でかなりキャンセルが出たのかもしれない。

 

23日(月)日本入国

 

約11時間のフライト、羽田に到着。

降りてまず通るのは検疫所。

前方から降りられるので、私は早めに出られたおかげで大体列の40人目ぐらいで、

ここでプレミアムエコノミーの有り難みが最大限に出ました。

後ろには長蛇の列が出来ていて、後方の人は4、5時間待ちとかもあったみたいです。。

(というか小さい子連れとかの優先搭乗があるなら降りる時もそうすればいいのに。と今気がついた。

小さい子にそんな長時間きつすぎるでしょ、、、、)

 

機内で記入した書類は3種類。

①2週間の隔離先住所、その移動手段が公共のものでないことを記入、署名する申告書。

「虚偽の申告をした場合は懲役または罰金の可能性がある」と下に小さく注意書きがあった。

②過去2週間以内に流行地域の滞在がないか、感染者との接触の可能性があるかの質問表。

③検疫所からのお知らせ(隔離場所から外出しないこと、公共交通機関を使わないことなど)

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「検疫所」というと仰々しい感じがするけど、

PTAとかで使うような長机が2台あって、検疫官が4人いるだけ。

列の隣にサーモフラフィーがあるものの、空港内やたら暑い上にマスクしてると余計暑いし、

この並んでる列がそもそも密度高すぎるやろ、、、っていう状態。

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検疫官に書類を出して確認されたのは

・イギリスからご帰国で間違いないですか?

・過去2週間以内に流行地域には行かれてませんか?

・発熱など体調不良はありませんか?

・隔離場所、移動手段の確認。2週間なので4月6日まで隔離です、とのこと。

 

 

ここでハッキリさせておきたいのが、

厚労省が実施してる水際対策は、海外のどの地域に渡航していたかによって2つに分類されるということ。

①入国制限地域:特に流行している地域

(中国、韓国、イタリア、イラン、スペイン、アイスランドなどの一部の指定された地域)

これらの指定地域に渡航していた人にはPCR検査を実施。

陰性の場合も2週間自己隔離、毎日検温する。

②検疫強化地域

(イギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパほとんどの国。26日からはアメリカも。)

PCR検査の実施は無いが、全員2週間の自己隔離、毎日検温する。

 

この分類が世間に認識されていないが故に、

②の地域からの帰国者が後に発症して陽性になると

「そもそもなんで検査してないんだ」と責められるわけです。

ある意味では帰国者にとっては日本に帰ってからの方が精神的に辛い所も多いかもしれない。

守ってくれると思ってた相手に守られない方が残酷だ。

 

 

 

 

イギリスは②の地域にあたるので、PCR検査はなし。

ただ、そもそも①②の分類自体が大いに疑問なわけですよ。

②の国には中国の湖北省、イタリア北部のように『特に流行している地域が無い』と定義されているわけですが、

ロックダウンに踏み切らざるを得ないほど感染拡大しているフランスやイギリスからの入国がこれほど緩くていいのか?

(ついさっきイギリスが外出禁止のロックダウン状態に入ることが発表されたので。)

イギリスの死亡者数の増加の仕方はイタリアのそれをなぞるように推移していて、

同じ道を辿る可能性が十分に(というかこのままではかなり)あるわけで、、、、

『現状この瞬間の状態』での判断だとしたら後手後手すぎる。

そもそも表面上に現れている拡大規模は常に「実際の拡大規模から最低2週間のタイムラグがある」

と考えた方がいいって専門家が言っているんだから、

判断基準の時間軸を最低でも2週間先にしないと意味がないんじゃないのか?

(潜伏期間が2週間と考えるとそりゃそうだよなっていう話で。

星の爆発の光が数万光年後に地球に届くのと同じように、ウイルスの拡大規模が2週間の時差でニュースに流れてるっていうことだと思う)

2週間後にイギリスやフランスが①の分類に入る可能性が高いなら

現時点で①に入れた方がいいんじゃないのか?

 

ってもう言い出したら本当にキリがない。

でも検疫官に罪はないし、1人にかかる時間が長くなればなるほどみんなの待ち時間が長くなる。

色んなモヤモヤを抱えながらも最速で検疫を通り、その後は普通〜にいつもの帰国と同じ。

荷物を受け取って、税関通って。

兄が迎えに来てくれるのを待ってたけど、ちょうどすぐ横に京急の改札があって。

これ、どう考えても普通に乗ろうと思えば乗れるよなあって考えてた。

 

 

 

 

 

この2日間SNSで情報収集した限りでは

・私と同じように自己隔離への政府の対応に不満を持つ人が続出している(特に地方に住んでいる人)

・国内の主要空港に着いてから隔離先までの自力での移動手段が確保できず、それが原因で帰国を諦めるしかない人

・そもそも公共交通機関を利用しないのは『要請』であって命令ではないので、申告書の署名欄に「同意できない」と書いて提出し、

公共交通機関で移動した人(理論的に虚偽申告ではないってことだと思う。これは1人しか見てないけど、移動手段がないと嘆いてる人に対して「要請だから破っても大丈夫だよ」というコメントはチラホラ見かける。)

・帰国して初めて条件を理解してどうにもできない人は、待機室に移動、数時間待って政府手配の隔離先に移動しているっぽい(もちろん自費)

という状況になってきている模様。

 

*追記:よくよく調べたら、「政府手配の隔離先」など存在してないようです。無策で帰ってきた人は別室に連れていかれて、何度も「自力で宿を手配するよう」繰り返されただけ、とのことでした。。。。

 

 

 

『政府命令』という形にした場合、強制力が出る分、責任は政府になり、

行政による隔離先、移動手段の手配が必須になる。

 

それを避ける為(としか思えない)に『要請』という形に留めて、

個人のモラルにかけ、「自己責任」にする。

隔離場所、移動手段の手配、費用も各自で頑張れよっていう。

おかげで帰国者がスケープゴートになって批判が集中してきている。

記者会見でドヤ顔で「公共交通機関の使用を禁止することを要請します」とか

さも国民を守るテンションで言ってるの見ると水ぶっかけてぶん殴りたくなる。(大丈夫かなこんなこと書いて。笑)

 

 

この強制力のない『要請』のおかげですり抜けるケース、

遅すぎる判断基準の上でされた地域の分類によって、

今後帰国者の陽性件数が増えてくると思う。

ただ声を大にして言いたいのは、本当に問題なのは検疫所を抜けた後の発覚であって、

「検疫所で帰国者の陽性」というニュースを大悲報としてさあパニックになりましょうとでもいうように報道し、

それに「また帰国者がウイルス持って帰ってきた」と騒ぐのは話の主旨が全然違う。

誰もが感染している可能性がある、感染力の高いウイルスってことをいい加減理解してくれよ。。。

その批判してるあんたも、もう感染してる、もしくは過去にしていた、ていう可能性もあるんだよ。とうんざりしてくる。

(いや私誰なんだよって話なんですけどね)

検疫所で発覚してるうちは検疫が機能しているわけで、

それを韓国なんかはちゃんと理解してるように思える。

ちなみに韓国、ポーランドなどは海外から帰国した隔離者がきちんと外出禁止を守っているかチェックするアプリを使って管理してるそうです。

日本も、どうにかできないものか。

 

 

 

 

 

とにかく、朝まで激論できそうなぐらい言いたいことはエベレストぐらい積もってますが、

私はその後無事に兄と合流しました。

兄はわざわざこの為に、前日に大分から羽田に飛行機で来て、レンタカーを借りて、

スーパーで買い出しをして滞在宿に運び入れてから空港に迎えに来てくれました。

(レンタカー屋では、過去2週間に渡航していない旨の誓約書を書かされたそうです。つまり私が自分で予約しようとしても断られてた。それでも検疫に提出した書類①にはレンタカーの選択肢がある。レンタカー手配のサポートが無いとしたら、もう無茶苦茶)

 

宿までは車で10分ぐらいでしたが、私は後部座席に座って車内では窓を開けて換気、

降りる時に自分が触れた所をウェットティッシュで除菌。

スーツケースを宿まで運ぶのを手伝ってもらったけど、

兄はすぐ手を洗って玄関先までで帰りました。

家族のいる自宅で隔離の人も多いと思うので、

そうゆう人は結構その辺緩いと思うんですけどどうしてるんだろうか。。。

うちは家が医療関係者なので、こうゆうところは徹底してます。

全員が私が感染者という前提で扱おう、という考えのもと動いていて、私もその方がありがたい。

 

 

滞在先は古い一軒家を改装した小さい2階建の民泊宿で、

隔離とはいってもめちゃくちゃ恵まれた環境です。

2週間だからキッチンも洗濯機もある民泊の方が絶対良いと思って、早く動いて良かった。。その上ホテルより断然安いし。

ホテルの個室で2週間て、相当きついと思う。。。

隔離先に着いて、1人になれたことにとにかくホッとしました。

感染しないように、そして感染させないように、30時間以上常に気を張って、

スマホやら充電器やらあらゆる触れるものをウェットティッシュで消毒、

手は手洗いと消毒がんばりすぎてゾウかな?ってぐらいボロボロで赤ぎれだらけになった。

長旅そのものよりも、注意を払うストレスにどっと疲れた。。飛行機怖いの忘れてたわ。。。

 

 

着いたらすぐお風呂に入って(久々に湯船浸かった〜)、

今度は母が買い出しして大分から送ってくれた2週間分の食材が届いた。

(マスクで出て自分のペンでサインして、宅急便のおじさんには外に荷物を置いてもらって

最早不審ってぐらい距離を取ったので御安心を。。。)

米、レトルトのカレーやらインスタント丼ものやら、、、、、

乾麺だけが入っててこれどうやって食べるんって突っ込もうとしたら

ちゃんと別で麺類の出汁が入ってたり、、、、

母ちゃんやっぱすごいわ。徹底的で抜かりない。

 

荷物には体温計も入れてくれてて、計ったら36.2度の健康体でした。

絶賛時差ボケ中で3時に目が覚めたけど、体調も普通。

友達に帰国前から「日本帰ってニュース見たら温度差にめっちゃ腹立つと思うから気をつけて」と言われてたんですが

まさに忠告通りになりました。。

コロナウイルス関連で横文字使うのがあーだこーだとか、、、、、、

そんなこと言ってるの日本だけだろ。。。

*追記:テレビ見てて思ったけど、たしかに年配の方には横文字ばかりだと状況が把握しにくいのかもしれない。

 

オリンピック云々言ってるの見ると、チャーター機でも出して幹部でイタリア北部の視察行ってきたらどうですか?って思う本当に。

そりゃ選手のことも経済のことも政治的な懸念はわかるけど、現実ではとにかく人がめちゃくちゃ亡くなってるから。。。

遺体の行き場が無くなって、ビニールで包まれて軍用車で隣町に運んでるぐらいに。

本当にそれどころじゃないと思うんだよ。

ICUのスタッフの人が、インタビューで泣きながら

「どれだけ寝ずに頑張っても、今までやってきた処置をしても助けられない。毎日毎日、ただ亡くなっていく人たちをどうすることもできない。何か変化が起きてくれないと、私たちの精神的にももたなくなってしまう」と話していて、

肉体的にも精神的にも削られていく様子が痛いほど伝わってきた。。。

他の病院のインタビューでは、もう亡くなった人の数を数えるのも諦めた。追いつかない、と。

 

 

 

本当に、オリンピックのことも、水際対策のことも、

政府は一体何を守ろうとしてるのか私には最早わからん。疑問しかない。

「中国では帰国者に対する差別や批判が広がっている」って他人事のようにワイドショーでやってたけど

いやいやいや、、、、、節穴かよ、、、、、灯台もと暗しかよ、、、、、、、。

 

帰国の判断が正しかったのかずっと考えてたけど、

イギリスもついにロックダウンに入って、運航便も減って、学校からも留学生は帰国できる人はしたほうがいい

と言われている以上、間違いではないと思いたい。

 

 

ふと自分で読み返して、

『もしかしたらイギリスもあと2週間以内にロックダウンになるかもしれないし』

と帰国を迷っていた記事を書いていたのが、19日。

そのたった5日後である昨日イギリス政府がロックダウンを発表。

それなりに状況を追っていたつもりの自分も現実がわかってなかった。

グラスゴーの感染者数は152人になった。

 

 

とにかく2週間は、粛々と、勉強に充てながら過ごします。

誰にも会えないけど、元々インドア派ですし陽がよくあたる部屋なので、

(怒りはあれど)病んだりすることはなさそうです。

 

 

 

もし周りに帰国時の情報が必要な人がいたらシェアしていただけると嬉しいです。